幽霊 ( ゆうれい )


幽霊といえば柳田國男の『妖怪談義』で語られた、「お化け(妖怪)と幽霊の違い」が思い出される。「妖怪は出る場所が決まっているが幽霊は決まっていない、妖怪は相手を選ばないが幽霊は特定の相手を狙う、妖怪が出るのは彼は誰時、幽霊が出るのは丑三つ時」というのが柳田國男の見解。一番最初の条件は理解しかねるが、その他は成程と納得してしまうようなものである。個人的にはあと「幽霊は生前の記憶を持つ、持たなければ妖怪」というのも付け加えたい。
さて長崎で最も有名な幽霊といえば飴屋の幽霊だろう。墓の中で生まれた子の為に、六文銭で毎日飴を買いに来る幽霊。この幽霊の像が今も光源寺に残っており、毎年お盆にだけ開帳されている。(長崎市『産女の幽霊』)
飴屋の幽霊に次いで有名なのは唐人屋敷の幽霊だろう。唐人の間では死んでから幽霊にならない者は人並み以下だと蔑まれ、しっかりとした衣装で履物の音まで響かせないと一人前ではないらしい。国が違えば幽霊観もここまで違うか。死んでからも蔑まれたくはないけど、それで皆幽霊になっても困りもんだなぁ。
幽霊(河鍋暁斎『幽霊図』)

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